【探究を考える】「結果」でなく「過程」を重視することで、子どもが得られる大切な学びとは?

実際、イベント後には、発表を行った生徒たちからこんな感想が事務局に寄せられた。 
「活発に意見交換やアドバイスができた」 
「さまざまな視点から見た疑問点や意見を得ることができ、どのように改善していくべきかが捉えられるようになった」
 「他の発表者のポスターや交流を通して、自分の探究にも生かしていけそうなものがたくさんあった」 
「結果が出ていなくても、探究の過程で困ったことや悩んでいることを共有できて、有益だと思った」 
「皆さんからの質問を受けることで、どうしてこのテーマで探究をしているのか、自分の興味の原点に返ることができた」

こうした高校生の“生”の声を聞くと、探究過程での交流・対話がいかに意味のあったものかが分かる。

高校生が自分たちの学びについてどう感じているのか、どうしたいと思っているのか。生徒たちの“生”の声には、これからの探究の在り方を考え、創り出していく上で、大きなヒントが詰まっている。「高校探究プロジェクト」事務局の藤村祐子氏は、昨年4月の『探究の共創~高校生の本音が聞きたい!~』というイベントで、とある進学校の生徒が発言した内容を今でも鮮明に覚えているという。

 ――私が探究の共創・協働について日頃感じていることは、高校で何か答えのないものを探究したり、仲間と活動を行う機会そのものがないということです。高校に入ってから何かを探究する、話し合うという機会がすごく少なくなり、答えがある問いしか与えられません。よって、学校と塾との違いがあまりないように感じます――

「この発言を聞いて、先生たちはみんなドキっとしていました。高校生の声を中心にした取り組みが、先生たちの価値観を変える、アップデートする、発想の転換をするきっかけになるのではないか。そう感じたことが、私たちの活動の拠りどころになっています」(藤村氏)

前述のように、探究活動にどう向き合っていけばいいのか、先生たちにとっても試行錯誤の段階だ。「総合的な探究の時間」がスタートしたはいいが、どうすれば生徒たちが探究活動から多くの実りを得ることができるのか、先生たちはその指導法を習ったわけではない。生徒たちが探究活動を通じてどんな力を身に付けているのか、テストとは違って具体的な数値で客観的に判断できないこともまた難しさの一つといえるだろう。先の生徒のように、そもそも学校や先生が探究活動に積極的ではないと感じるケースもある。だが、だからこそ、高校生の声が大事になるという。

「今回のイベントで開会宣言した生徒に、その後、ニュースレターに名前を掲載していいか連絡をしたのですが、『これをきっかけにプロジェクトやイベントの取り組みを多くの人に知ってもらえるのであれば、まったく問題ないし、うれしいことです』と言ってくれました。そのことを学校の先生に伝えると、まさかその生徒がそんなことを言うなんて思ってもいなかったのか、すごくうれしそうにされていました。やっぱり生徒の成長が見られれば、先生たちも積極的にアクションするようになります。高校生の“生”の声を届けることで、先生たちの価値観が変わっていく。本当に大事なことだと感じています」(藤村氏)