【探究を考える】「結果」でなく「過程」を重視することで、子どもが得られる大切な学びとは?

7月、「プロセスを重視する」といった思いをもって、『私たちの探究をつくろうプロジェクト 共創イベント in Summer~バーチャルポスターセッション~』(主催:「高校探究プロジェクト」)が開催された。

学習指導要領の改訂により、2022年度から高校で「総合的な探究の時間」が始まった。生徒たちが自分自身で課題を設定し、情報の収集や整理・分析などのアクションを起こしながら、主体性をもって課題解決を目指すという、教科や科目の枠を超えた横断的・総合的な学びだ。スタートしてまだ1年半がたったばかりで、学校も先生たちも試行錯誤を繰り返している段階だ。本イベントの主催者である「高校探究プロジェクト」では、各教科や「総合的な探究の時間」などの教科横断の双方を射程に入れ、より実践的な探究の学びを実現することを目的に活動している。

本イベントもその一環として開催されており、高校生が個人やグループで取り組んでいる探究についてバーチャル空間で発表した。発表を聞いた他校の生徒や先生、大学生、ビジネスパーソンなどの参加者と双方向で対話をして、その後の探究活動に生かしていくことを目的としている。今回は海外からの参加も含めて15校24組が、環境保全や過疎化、教育などそれぞれが取り組んでいるテーマで交流を図った。

本イベントの大きな特徴は、探究活動の「成果」ではなく「過程(プロセス)」を発表することにある。「こういう探究をしようと考えていますが、どう思いますか?」「こういうところで悩んでいるんですが、どうしたらいいと思いますか?」といった対話があちこちで活発に起きていたのが印象的だった。生徒と大人だけでなく、高校生同士でも互いの探究に関心を持ち、質問し合う姿も目立った。

探究に限ったことではないが、活動の発表といえば、一定の成果が出てから発表するのが一般的だ。なぜ過程段階で発表するイベントを開催することにしたのか。主催者である「高校探究プロジェクト」リーダーの西村圭一氏は、その狙いをこう語る。

「探究活動において新しい成果を生み出せる子は本当に一部だけです。多くの子にとって大事なのは、“過程”の中で、自分とは違う価値観を知ることだといえるでしょう」(西村氏)

確かに成果の発表会となると、素晴らしい成果が伴わないと評価されにくいという現状がある。また、決められた期日までに発表を間に合わせようとすれば、生徒自身は本心ではもっと深くまで掘り下げて活動を続けたいと考えていたとしても、その時点で発表できる形に小さくまとめる場合もあるだろう。成果の発表という“結果”のために、“過程”を狭めてしまうことは十分にあり得ることだ。失敗が許されるのは高校時代の特権でもある。たとえ発表できるような成果につながらなかったとしても、主体的に活動してきた“過程”があれば、その方が大きな学びとなるだろう。

西村氏は、『私たちの探究をつくろうプロジェクト 探究ミニセミナー&交流会 第1回』の話題提供者、合同会社あしたの学校CEO吉田悠馬氏(慶應義塾大学)、COO岡田羽湖氏(国際基督教大学)の話を引用してこう話す。

「大事なのは、『視座』を上げることです。視座が低いと見えないものも、視座を上げることで見えるものがあります。高校生のころはどうしても周囲に自分と似たような考え方をする子が集まりがちです。一緒に探究テーマを決めて活動をしている子たちであれば、なおさら同じような価値観を持っていることが多い。そのグループの子たちだけで探究活動をしていても、なかなか発想が広がらない。だから自分とは違う価値観に触れることが大事なのです。自分とは違う立場で物事を見る、考える。過程段階でさまざまな立場の人と交流・対話することで、視座を上げることができるようになると考えています」(西村氏)