【探究を考える】「結果」でなく「過程」を重視することで、子どもが得られる大切な学びとは?

野口学

 大事なのは、結果か、それともプロセスか――。 

これは、多くの人が一度は考えたことのある永遠の命題ともいうべきものだ。 

確かに“結果”は大事だ。例えばプロスポーツの世界であれば、結果を残せない選手はいずれ契約を打ち切られてしまう。大好きなスポーツを続けることもかなわなくなる。一般社会でも利益という結果を出すことができなければ、いつかその企業は倒産してしまうだろう。結果が大事なことは言うまでもない。

 では、“結果”だけが大事なのかといえば、決してそうではないはずだ。

「結果が大事というのは、この世界でこれなくしてはいけない。野球を続けるのに必要だから。プロセスが必要なのは、野球選手としてではなく、人間をつくる上で必要と思う」

イチロー

元メジャーリーガー、イチロー氏のこの言葉を言い換えるなら、「人を成長させるのは“プロセス”だ」といえるだろう。

結果とプロセスの2つは両輪であって、どちらを欠いてもうまく前に進むことはできない。プロセスを振り返ることがなければ、たとえ良い結果を残したとしても再現性・持続性は生まれない。一方で、結果を求めて本気で取り組まなければ、そのプロセスは惰性や無責任を生み、やはり成長を阻んでしまう。元も子もないことをいえば、「結果か、プロセスか」ではなく、両方大事だといえるだろう。

だが、頭では“プロセス”も大事だと分かっていても、どうしても“結果”ばかりに目がいきがちだ。例えば、親の立場であれば、子どもがテストで高得点を取った、部活でレギュラーになった、何かを完成させたなど、どうしても“目に見える”ものに視線が向きやすい。しかしそうした“結果”が出るまでには、さまざまな“プロセス”があるはずだ。思考力や論理力、決断力や実行力といった“目に見えにくい”力をどれだけ身に付けていたか、どのように活用していたか。思うように物事が進まなかったときに、どれだけ諦めることなく前向きに取り組めていたか。

果たして自分は、そうした子どもたちのプロセスに目を向けることができているだろうか。どうすればもっとプロセスに目を向けて、成長を促すことができるだろうか――。

2児の父である筆者があらためて自分を見つめ直したのは、あるイベントに参加したことがきっかけだった。