課題を設定しよう その1
21世紀型教育機構 石川一郎 先生
「総合的な探究」とは何か。「人生のトレーニング」と考えてみたらどうでしょうか。そう考えると、「総合的な探究の時間」の「課題の設定」は「何をやりたいのか」。
では、「何をやりたいのか」を考える時は、どうしますか?
まず、自分が好きなことを考えます。
次に、好きなことが生活の中で大きな位置づけ(仕事とか)となるとしたらそれで本当にいいのかを考えます。
これは意外にたいへんではないかと思います。自分が好きなことは、すぐ思いつくかもしれないし、何だろうと悩むかもしれません。
そして、生活の中で大きな位置づけとなると本当にそれでやっていけるか考えてしまいます。
大事なのは、「悩み方」を学ぶことかもしれません。「悩み方」とは、ただ上手くいくかいかないかを考えるのではありません。「自分のやりたいこと」の情報を収集し、集めた情報を整理・分析して、「やってみたらどうなる」と考えてみることです。このプロセスは必ずしも順番通りにはなりません。「やってみたらどうなる」と考えてみた時に、もっと情報を収集しないと、あるいはもっと客観的に分析してみたら、となるかもしれません。あるいは、情報を収集しているうちに「やりたいこと」自体も変化することもあります。
このプロセスは、「総合的な探究」の「課題を設定」し、「情報を収集」し、「整理・分析」し、「表現・まとめ」をする、とまったく同じです。
そして、大事なのはこの4つのプロセスは個々に考えるものではなく、すべてを組み合わせながらモヤモヤとすることです。
では、実際に「総合的な探究」の時間で「課題」をどうやって設定するのでしょう。
よくあるのは、SDGs(持続可能な開発目標)といった現代の社会課題の中から設定することです。この場合はすでにある課題の中から自分の興味あるものを「選ぶ」ので、課題の設定は比較的やさしくできます。しかし、これには以下の2つの問題があります。
・社会課題であるので、すでに多くの分析や研究がされており、探究を進めていっても既に誰かが主張しているものになりがち
・課題自体が必ずしも身近ではなく「ジブンゴト」になりにくい
私が薦めたいのは、前述のように自分の関心事をマインドマップで広げていって課題を設定するやり方です。自分の関心あることをまずは言葉にして書き出してみる。そして、その言葉を広げてみるのです。関心あることを考えるのは、心も動きますし頭も働きやすくなるのではないかと思います。
「課題の設定」をモヤモヤしながら考えていく、結論がなかなか出ない時間こそが大事な時間ではないでしょうか。