課題を設定しよう その2

エシカル・スピリッツ株式会社 COO 小野 力 氏

「課題を設定しよう」って結局どういうこと?と、悩む人も多くいるかと思います。
ここでは、私の考える課題を設定するにあたって理解すべきことをお伝えできればと思います。みなさんが今後自分なりの「課題設定」プロセスを見つけるための手助けになれば幸いです。

私が考える「課題の設定」にあたって理解すべきことは2つです。

・課題と問題の違い
・誰のどんな問題に対して課題設定を行うのか

1.課題と問題の違い

端的に言うと、いわゆる「困りごと」というのが「問題」で、それを解決するためのActionが「課題」です。

例えば、私が共同創業したエシカル・スピリッツという会社は、日本酒を製造する酒蔵が「必ず発生する副産物の酒粕がコストをかけて廃棄されることが多い」という困りごとに対して、「ジンという蒸留酒に再生する」という課題設定により生まれました。身近な例でいくと、「ビニル袋が大量に捨てられている」という困りごとに対して、「ビニル袋を有料化する」というActionは最近では当たり前になりましたね。

ここで重要なのは、これらのActionがどのように困りごとを解決に導けると仮定されたか。それが2つ目のポイントです。

2. 誰のどんな問題に対して課題設定を行うのか

酒粕が廃棄されることが多いということは、酒粕に対して経済的な価値が見出されていない、ということです。これは酒粕を副産物として産出する酒蔵が抱える問題であり、酒粕に新しい価値を生むことが問題を解決に導く方向となります。つまり、消費期限のない蒸留酒の原料として酒粕を使用し、酒粕の消費を確実に増やし価値を高めるための課題設定であったことがわかります。

また、ビニル袋が大量に捨てられている問題は環境負荷を軽減したい日本社会全体の問題になります。この問題には廃棄しても環境に負荷のない素材を代用、もしくは開発するという方法もあり得るかと思います。ただ、すぐに活用できる代用品がなく、開発の時間と普及に対するコストのハードルから、廃棄量を抑える方法として「有料化」という課題設定がなされたことがわかります。

「問題」を突き詰めて「誰の」「何を目指す中で生まれた」問題なのかを考えた上で課題設定をすることは、社会人になってからも使っているだけでなく、今の私のビジネスの原点であることがわかって頂けたかと思います。

ビジネスと聞くとちょっと遠く感じるかもしれませんが、気になった「困りごと」から始めてみてください。

自分の興味に素直になって、その「困りごと」に「なぜ」を3〜5回繰り返してみると、最初は見えなかった問題の本質に対して課題設定ができるはずです。