【開催レポート】高校探究プロジェクト連携「探究的な学びの実現に向けた協働・共創プロジェクト」

最後に、このWSを企画した「わくわくチーム」についても言及しておきたい。

本記事を執筆する私の手元には「わくわくチーム」がイベント開催までに積み重ねてきた打合せ資料のデータがある。2023年度末に行われた振り返り資料から、今年度初頭の4月3日にキックオフした際の打ち合わせの資料などがなかなかのボリュームで収容されており、回を重ねるごとにプログラム内容の言い回しやキーワードが微妙に変化して精選されていくプロセスが記されている。業務多忙な中、2年にわたり協働・共創されたプログラムを紐解くと、そこには「探究的な学び」とは何なのかを粘り強く探究し続けた「わくわくチーム」の姿が浮かび上がる。

企画主催である広島県をはじめ、青森県、鳥取県、大分県の指導主事が、「負担感はないですか」「持続可能なものになっているかな」とお互いを気遣いつつ、これまでの学びの深化を喜びながらコミットし続けている取り組み。この「わくわくチーム」と名乗るメンバーの原動力はどこにあるのだろうか。

本記事で「探究」に次いだ頻出ワード「わくわく」。

日本語で「わくわく」としか表現できない心踊る状態がある。不確実性の高い未来に期待しているときに活用される「わくわく」。この語源は、地中から水が溢れ、湧きあがる様子からきているとのこと。

探究の芽とは何か、エージェンシーとは何かを探るヒントがこの「わくわく」の響きにあるのではないだろうか。

探究の芽(はて?)から始まる、湧き出る知的好奇心や違和感と共に、さらに深掘りしたくなる問いにぶつかった時に「探究」は止められなくなる。その源泉を自ら感知する力と行動に移していく力を、西村氏は「エージェンシー」と表現する。エージェンシーなき探究は、生徒の“やらされ感”や教員の“負担感”を生み出す。それはなにも探究に限ったことではない。

今回のわくわくチームメンバーの表情や語りから伝わる「わくわく」の正体は、このプロセスの先にある新たな視座のステージに上がった自分の姿を想像し、その実現に着実に一歩ずつ近づいている手応えであり、正解がない楽しさであり、まさに探究的な学びの原動力そのものだろう。エージェンシーを発揮し、自らの問いに対して1ミリでも前進できた成功体験は、たとえそれが小さなステップでも次なるモチベーションを生み出す。この手続き(学び)の先に、自分が知りたいものがあるという期待こそが探究を自走させる。

今後もこの「わくわく」が、どのような軌道修正のプロセスをたどり、どのように各県の教員研修に実装化され、どのような生徒の探究的な学びに繋がっていくのか、長期的に注目していきたい取り組みである。

全国の指導主事の皆さま、教員研修のデザインを「わくわくチーム」と協働・共創しませんか。今後のWS(第2・3・4回開催/単発参加可)の受講をご希望の方や研修デザインの仕方を学びたい指導主事の先生方のご参加をお待ちしています
ご質問やご相談などがございましたら、高校探究プロジェクト事務局までお問い合わせください。


記事を書いた人

清水 美春

滋賀県出身。元公立高校教諭として19年間勤務後、2021年からフリーランスとして活動。教員時代は青年海外協力隊ケニア派遣、滋賀県教育委員会事務局、県文化スポーツ局、夜間定時制高校などで多文化共生への理解を深め、公衆衛生や性に関する学校講演活動や、国際理解、キャリア教育、スポーツ、ウェルビーイングなどのさまざまなイベントのコーディネートに従事。講演活動はNHK等メディア掲載多数。立命館大学大学院先端総合学術研究科博士課程在籍。専攻はセクシュアリティ、文化人類学。