【開催報告】ティーチング・コンパス日本語訳完成記念ローンチ

11月3日(祝・月)20:00~22:00 (日本時間)にて、OECD Future of Education and Skills 2030/2040(通称Education 2040)のTeaching Compassの日本語訳完成ローンチが開催されました。
第2部に、高校探究プロジェクトの西村教授と藤村准教授がパネリストとして登壇しました!
第1部は、「ティーチング・コンパス日本語訳完成記念シンポジウム」です。

冒頭で、今回の日本語訳監修総括を務められた学習院大学教授の秋田先生から、「文化の日にふさわしいシンポジウム」として価値づけを頂き、ティーチング・コンパスは、大きな改革(Reform)ではなく、先生一人ひとりが「小さな変革」(Change)を自らの手の中から生み出す応援歌のような存在を目指していることが語られました。
続いて、日本OECD共同研究総合座長の戸田市教育長 戸ヶ崎先生からは、「ティーチング・コンパスは輸入品ではなく国産品」との説明があり、教師の内なるアンカーBeing・Belonging・Becomingを「3B」と名付け、わかりやすくご紹介くださいました。
教職を目指す学生・なりたて教師グループの広島大学大学院生の中村さんは、教職1年目のスケジュール帳をめぐる対話から、教職を目指す学生チームにとって、ティーチング・コンパスは、身近な「自分のポケットに入れておきたい」存在!として、価値観やセルフケアの大切さを語られました。
OECDの田熊さんからは、ティーチング・コンパスが向かう先にある未来を自分事にする大切さと、その方向に向かう時、自分を見失わないためのアンカー(錨)の存在の大切さを、TALIS2024データに紐づけながら、教師の自己効力感や新しい研修のあり方など、ご紹介いただきました。
最後に、OECD日本政府代表部一等書記官の佐藤悠樹さんは、日本とOECDという通常は遠い存在に感じる中、今回はその距離を縮める架け橋のお役目として司会を務めたとコメントをいただき、日本とパリがつながる時間となりました。
第2部は、「ティーチング・コンパス〜日本における過去、現在、これから〜」をテーマにし、「過去へのタイムトラベル」、「ティーチング・コンパス現在地」、「未来へ旅する部屋」の3つのセッションに分かれてのパネルディスカッションが行われました。

「ティーチング・コンパス現在地」のセッションでは、高校探究プロジェクトの西村と藤村の両名が登壇し、所属の異なる指導主事による「チームわくわく」の成長とティーチング・コンパスの活用について話題提供を行いました。
まず、西村リーダーからは「錨(アンカー)をどのようにおろしていくのか」というテーマで、次のような問題提起がありました。
指導主事自身もBeing・Belonging・Becoming(3B)を体現していく必要があり、「チームわくわく」のように地域を越えて研修をデザインする実践を3Bの視点で見取ると、個人の学びだけでなくチーム全体の成長が見えてくる。
また、指導主事が自ら「どうありたいか」「誰とつながっていきたいか」「どうなっていきたいか」を意識し、自分の「錨」をおろしていくことが、教師たちのコンパスにも好影響を与える。
続いて、藤村からは、「チームわくわく」の歩みと実践、そしてその中でのBeing・Belonging・Becomingの見取りについて紹介がありました。
社会や教育の変化の中で、指導主事自身の学び直しや研修観のアップデートが求められる一方、相談や学びの場が不足している現状を踏まえ、広島県を中心に青森・大分など複数県の指導主事が連携し、「わくわくを原動力」にした協働・共創プロジェクトが立ち上がった経緯が説明されました。
そして、研修デザインと実践後の振り返りで継続的な対話を通じたメンバーの変容とコミュニティの成長過程を、Teaching Compassの3Bを援用して分析した結果が示されました。

例えば、これらの変容は循環的・相互的に生じ、個人の成長のみならずコミュニティ全体の成長にもつながっていること、オンラインMTGでの継続的な対話は、メンバーにとっての自己認識、内省・セルフケアの場となり、指導主事としての存在意義=「錨(アンカー)」を確かにしていく機会にもなっていることが示されました。
最後に、「チームわくわく」の生みの親である広島県教育委員会のN指導主事から、「全国に仲間がいることがこんなに心地よく心強いことだと実感させていただいています。こんなに輪が広がって本当にうれしいです。今まで、大変だと思ったことはなく、全国の指導主事仲間にいつも支えられてわくわくしながら前に進んでいます!」という温かいコメントをいただき、セッションを締めくくりました。
ご参加いただいた方からは「このような指導主事の新しい学びのカタチがどんどん広がっていくといいですね。」「指導主事の資質向上や伴走のあり方について考える手がかりが得られました。いろいろ地域と協働して考えることの重要性を感じました。」といったお声を頂戴しました。
本セッションを通して、これからの探究のあり方を考えていくうえでも、先生方の一人ひとりの「錨(アンカー)」の重みが大切であることが再確認できました。今後も、参加者のみなさまと共創しながら、高校探究プロジェクトに関わる方々の「錨(アンカー)」を重くしつつ、「探究的な学びの実践コミュニティ」として成長していくことを目指していきます!


